豪雪地帯!冬の中国山地でキャンプツーリング1日目
2018年1月27日朝6時半 気温-1度
日の暖かさが気持ちいい朝だが、外の寒さは厳しく、路面には薄らと雪が積もり、凍結もある。
高野町は西日本で最も寒冷な地域の一つで、豪雪地帯に指定され、積雪は毎年1mを超える。寒さも厳しく1月末では平年でも-5度を下回る。
積雪は酷くなって、タイヤがスリップしているのを全身で感じる。
集中力を切らすとすぐに転んでそうだ。
凍った道や積雪の大きいところを通らないよう、轍を縫うように走る。
県道63号線に入り、路面のアスファルトはとうとう顔を出さなくなった。
さっきよりも段違いに神経を使う。
横を通る車もかなりスピードを落としている。
走っていると突如勾配のある短い下りが現れた。
やばい、こける!!
そう思ったときにはもうこけていた。前輪からスリップし、ブレーキをかける間も無く落車。後続も同じように落車していた。スピードはとても遅かったし、着込んでいたので怪我は無い。
このキャンプツーリングには部活のOBの先輩が参加してくださっていた。
みんな落車しているのにそのOBさんは全然平気そうに走っている。経験値が違いすぎた。後にも先にもこのOBさんが、このキャンプツーリングで落車しているところは一度も見ていない。
三次市にようやく着いた。ここまで約60kmを消化したわけだが、普段の倍以上の時間が掛かっている。まだ残り40km程ある。しかもこれから先は、今までよりも積雪がひどい。むしろここからが本番といったところか。もう昼を過ぎている。
本当にたどり着くのか…
三次市街地より先に補給地点はない。
コンビニで補給食を多めに購入し、昼食を済ませて出発する。
市街地を抜けるとすぐに積雪が酷くなる。積雪と踏み固められた雪、雪が溶けて固まった氷など路面状況は様々で、ハンドルをとられては落車を繰り返した。
除雪車が通ったばかりなのか、
除雪されたばかりのフカフカの雪が道の脇に溜まっていた。
イケーーー!!
小学生に戻れた気分だった。脚はもう悴んで感覚がなかったけれど。
下りでは落車を繰り返した。後半はもう抗うことをやめていた。身を任せるように落車していたと思う。
そうこうしているうちに、キャンプ場までは残り数kmだ。除雪車を追い越し先へ進む。
着く頃にはもう夕暮れ前だった。
キャンプ場の手前に商店がある。そこで晩ご飯の鍋の具材を買った。焚き火セットも持ってきていたので、焼けるものも買う。暖かい晩ご飯が楽しみだ。
キャンプ場に到着し、チェックインをする。他のお客さんはほとんどいない。
神経を使っていたので、それから解放され程よい疲労と建物の暖かさで急に眠くなった。
チェックインを終えて、荷物をサイトに下ろしてテントの設営を済ませ、みんなで一目散に風呂へ向かう。
もう体は完全に冷え切っている。脱衣所で服を脱ぎ、扉を開けるとまさかの露天風呂。
クソ寒い!!!
そこにはシャワーがなく、桶をつかって蛇口から出るお湯で体を流した。今更もうなんでもよかった。ただ暖かい、それだけで幸せだった。
早々にシャワーを済ませ、湯船に入った。全身の血が巡り、生き返るようだ。
過酷だった道のりをみんなで談笑しながら振り返る。あんなに辛かったはずなのにね。
屋根に積もった雪が垂れ下がっていた。
誰かが雪玉をぶつける。すると、
ドカァァーーーン
湯船に大量の雪が落ちてきて、一瞬にして湯がぬるくなった。
みんなで湯口に集まって暖をとる。
また誰かが雪玉を投げた。
ドーーーン
流石に冷たくなり過ぎたので、体が冷える前にお湯から出た。
もう辺りはすっかり暗く、ライトをつけながらサイトに戻る。みんなで鍋の準備をする。気温が低く、LPGでは火が弱い。これは失敗だった。時間はかかったが幸いにも、料理はうまく出来ていた。
どこかに座ることなく、調理場で立ちながらご飯を食べた。鍋とご飯の暖かさが染みる。そして豚肉と野菜がこの上なく美味しい。最高だった。
片付けをみんなで済ませ、サイトに戻るとOBさんが焚火をしてくれた。雪で巻きが湿ってなかなか火がつかない。すると、OBさんはおもむろに何かを取り出し、火に液体を注ぐ。するとその瞬間、
ボワォァーーン
火柱が立ち上がる。
ガソリンだった。物騒であったが、湿った薪にもようやく火がつき、みんなで火を囲んだ。焼き玉ねぎ、焼きリンゴ、焼き芋を食べ、もう大満足だった。
火が消えるまで談笑は続き、その後は4人用のテントに6人で寝た。その頃外はさらに冷え込み気温は氷点下-10度であったが、心配していた寒さも6人で寝れば全然大丈夫だった。満腹感と心地いい疲労ですぐに眠れた。
今日はいい1日だった。
written byたー
(豪雪地帯!冬の中国山地でキャンプツーリング2日目に続く)